シャマタ ∼マインドフルネス・メディテーションの手引き (MINDFULNESS MEDITATION INSTRUCTION IN JAPANESE)

マインドフルネスは、メディテーションを勉強する上で基礎基盤となるとても大切なものです。サンスクリット語ではシャマタと呼ばれ、「成長中の安らぎ」や 「変わる事ない平穏さ」といった意味を持ちます。マインドフルネスでは、意識を今この瞬間に置くアンカーとして呼吸を使用することで、自分を「今ここ」に置き、 思考や沸き上がる考えに気づき、気づきながらもその思考に捕われないようにします。思考を停止させるのではなく、思考に捕われない自分を育てるのです。

1)良い姿勢で座る

 

マインドフルネスは、まず良い姿勢を作るところから始めます。通常は床に座布団や坐布を置き、その上にあぐらをかいて腰掛けます。床に直接坐る事が困難な 場合は椅子に腰掛けて行う事も可能です。その場合は、足の裏がしっかり床に付く高さに椅子を調整し、背もたれを使わないよう浅く腰掛けましょう。座れたら、 背筋を伸ばし顎や肩をリラックスさせます。顎は少し引き気味にして、軽く口を開けた方が良ければ開けてみましょう。「キツ過ぎず、ユル過ぎず」練習する上で、 リラックスして座る事はとても重要です。目は優しく開けたまま、伏し目(半眼)にし、床の1.8∼2m先を柔らかく眺めます。

 

2)自分の呼吸に意識を置く

 

良い姿勢を取る事ができたら、次は呼吸です。特別な呼吸法をする必要はありません。自分が普段は無意識に行っている自然な呼吸を意識してみましょう。 吸ったり吐いたり、鼻から出入りする空気に気づくでしょうか?それとも上下する腹部?もしくは鼻から入って腹部まで届き、再び鼻から出て行く一連の動きに 気づくかもしれません。今まで無意識に行っていた、自分の呼吸に意識を置きます。呼吸に意識を置いても、常に様々な思いや考えがあなたの頭をよぎるはず です。その考えを追いかけ、自分の意識が呼吸から離れたと気づいたら、また呼吸に意識を戻しましょう。浮かんだ考えや感情はそのままに、追いかけず、思いを 巡らす事もせず、ただ呼吸に意識を戻します。

 

3)何か考えてもそれを追わず呼吸に戻る

 

何かを考えている事に気づいたら「考えた」と心の中で言ってみてください。「考えた」という言葉を合図に再び意識を呼吸に戻します。浮かんだ感情や考えは、 抑え込むでも追いかけるでもなく、そのままにしておきます。特に強い感情が沸き上がると、物語のように思考が連なって行く事に気づくでしょう。それに気づ いたら、「考えた」とひとこと心の中でつぶやいて呼吸に戻るのです。マインドフルネスのプラクティスを通して、沸き上がった感情や考えには、執着せず、排除 するでも操るでもなく、今この瞬間に生きている証として体験します。多くの人にとってこれは大きな一歩です。感情や考えが湧き出した事に気づき、その 感情は永遠には続かないと知る。何かを感じても執着したり絶望を感じ得る必要はないのです。

 

以上が、シャマタ∼マインドフルネス・メディテーションの手引きです。最初は1日おきに1回10∼15分でも構いません。 そこから皆さんに適した長さを見つけましょう。マインドフルネスは一人でできるものですが、指導者について学ぶのは プラクティスを深めるのにとても役立ちます。また、グループでマインドフルネスをやってみると新たな発見があるでしょう。

 

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